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品川美容外科事件の闇
2011-07-30-Sat  CATEGORY: 医療崩壊
品川美容外科事件については、皆さんもニュースで聞き及んでおられるかと思います。当初このニュースを見たときは、強烈な違和感を感じました。捜査対象と「関係を持っている」警部というのは、端的にいえば不正を疑わせるからです。ニュースでは触れられていない部分も含め、かなり深刻な暗部と思われる文章を見たので、こちらでも紹介いたします。

MRIC様より引用

品川美容外科事件-捜査官の不適切行為の数々
元三宿病院長
紫芝良昌
2011年7月26日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp

7月22日の朝刊各紙は警視庁捜査一課白鳥警部の捜査資料に関する守秘義務違反容疑による逮捕を一斉に報じた。品川美容外科病院に生じた業務上過失致死事件の捜査中、捜査情報を被疑者である病院側に漏らした守秘義務違反による逮捕である。

しかし、この事件にはもう一つの大きな問題が内在する。それは捜査対象である病院に、しかも捜査が行われている最中に、捜査当局のOB二人が就職しているという、異様な事態である。このような構造があれば、病院側はOBを通じて捜査情報を入手する可能性が開ける。この構造自体が本件のような守秘義務違反を生む基盤であり、これから派生した守秘義務違反をいくら糾弾しても、この構造に対して司直のメスが入れられない限り同種の事件の再発を防止することは不可能であろう。しかし、どの新聞も22日夕刊までの時点でこの点に関して何らの論評も加えていない

逮捕された白鳥警部は守秘義務違反容疑に対して強く否認していると云うが、捜査対象の病院に対してOBの就職を強く迫ってきた、と言う事実を否認することは出来まい
なぜなら、私自身が院長を務めていた病院において、業務上過失致死事件があり、病院側が事実を隠蔽しているのではないかと疑われて2004年4月から12月まで実に8ヶ月間、白鳥警部のチームの捜査を受けた際、同様にOBの就職を持ちかけられた経験があるからである

捜査本部の置かれた目黒署に呼び出しを受け、事情聴取されたが、そのさなかの8月頃と記憶しているが、事情聴取の合間に白鳥警部から「これから病院も患者とのトラブルなどで大変なことも多いだろうし、警察が介入することも多くなるだろうから、対策として警察のOBを雇ったらどうか。そうしている病院もたくさんあって喜んでもらっている。今、適当な人がいるが、年俸600万円でどうか」というのである
私は捜査官が、捜査中の病院の院長に対して、警察OBの就職を斡旋する事実に驚愕した。そんなことしていいんですか、と私が問うと「病院のため思って云ってるんだ」とのことであった。私は「いま、そのようなことが病院に必要だとは毛頭思わないけれど、事務部長にも聞いてください。事務部長もウンとは云わないと思いますよ」と答えたが果たして事務部長もウンとは云わず、この話は沙汰止みになった。
内心、この話を受けておけば、医療過誤事件に関しても、また平行して進行している民事損害賠償請求事案に関しても、有利な手心を加えてもらえるのではないか、との誘惑を感じたことも事実である。

しかし、捜査をする側と受ける側という、力関係の大きな傾斜のある中で、年俸600万円のポストがやりとりされる、というのは異様な事態であり、禁止する法律はないのかも知れないが、捜査側も、病院側もこのようなことを自制するだけの節度を持たなければならないと私は考えた。医療問題に詳しいとして白鳥警部が捜査に入った医療機関では、同じようなやりとりが行われたはずである。
多くの病院は、良識ある節度を維持していたと思うが、品川美容外科病院はこの誘惑に勝てなかったのであろう。

捜査中白鳥警部の節度を欠いた行動は、これのみではない。2004年9月8日、病棟の看護師から、夜な夜な白鳥警部から携帯電話で呼び出され、中目黒の歓楽街で酒席の相手をさせられている、という訴えがあった。事実を確認して警察監察部等、しかるべき所に連絡して対応するのが、院長としての責務であると私は考え、事実を確認するため、看護師に電話会社に連絡して通話記録を提出してくれるよう求めた。看護師の側は通話記録には個人情報が多く含まれていることを憂慮してのことであろう、この求めには応じず客観的な証拠を示すことが出来なかったため、それ以上の対応を断念せざるを得なかった
このころ、白鳥警部は、「本庁で俺が病院の看護師を妊娠させた、と言う噂が広がっている。この病院の女性職員の中で警察関係者の妻である者がいれば、それが噂を流している張本人だろう」といって、職員を聴取していたようであるが、あきれるという以外に言葉がなかった。

これらの院長側の対応に白鳥警部は激怒し「あの院長だけは牢屋にぶち込んでやる」といきまいているので心配です、とのコメントが部下の医師達から寄せられるようになった。はたして、11月8日、白鳥警部は私に「病院を救うには」との名目で院長職の辞任を強く迫り、私も部下の業務上過失致死容疑について、院長としての立場上の責任を取って11月末日に院長職を辞した。事故の隠蔽の容疑に関しては、その事実はなく、病院側は事故直後に司法解剖を申請し、公正な死因の究明を期したが、警察に対して再三、司法解剖の結果の開示を求めても拒否され、解剖所見のないままに院内の事故調査委員会は報告書を作らざるを得なかった
報告書は委員会から院長に宛てた報告書であり、内部文書として扱われるべきものであり、公印を要する文書ではない。白鳥警部らはこの文書の内容に、解剖所見と異なる部分があり、それが偽造にあたるとして「有印公文書偽造同行使」の共犯として私を書類送検した
当然、検察は「文書は公文書ではないし、内容も偽造とは言えない」として不起訴にした。白鳥警部は事前に事態がこのように帰結することを熟知していた。にもかかわらず敢えて送検することは、OBの就職に非協力的であり、白鳥警部の非行とも言える行為を告発する姿勢をみせた院長を、送検に伴う報道によってバッシングすることを目的としたものであり、その目的は十分に果たされたのである

現今、検察の不祥事が大きく報道されているが、市民との関係から云えば、警察の方が遙かに広い裾野をもっている。司法警察のこのような不適切行為が明るみに出され、浄化されて信頼が回復されることを強く望むものである。

(引用ここまで)

権力をかさに、ずいぶんやりたい放題です。就職の口利きとか、公私混同とか、恫喝とか、非協力的な相手に対する罪の捏造とか。こういう人物(下衆中の下衆とでも言うべき存在!)が警部やっているのだから、警察という組織もずいぶん質が低下したものではあります。こんな輩の相手をしなければならない医療関係者の心情、察するに余りあります。

こういう話もあるようです。

朝日、23日の記事より引用

「強引にストーリー押し通す」=逮捕の警部、女子医大事故も担当―無罪の医師語る

捜査対象の美容外科に情報を漏らしたとして逮捕された警視庁捜査1課警部の白鳥陽一容疑者(58)は、2001年に東京女子医大病院で起きた医療事故の捜査も担当していた。この事故で業務上過失致死罪に問われ、その後無罪判決を受けた佐藤一樹医師(47)が22日までに時事通信の取材に応じ、「強引にストーリーを押し通そうとするタイプだった」などと、当時の同容疑者について語った。
佐藤医師は東京女子医大病院に勤務していた01年3月、小学6年の女児の手術中に人工心肺装置の操作を誤り、3日後に死亡させたとして起訴された。同医師のミスが事故原因とする病院側の内部報告書を基に捜査が行われたが、公判では否定され、無罪が確定。病院側も報告書の誤りを認め、謝罪した。

当時警部補だった白鳥容疑者はこの捜査の中心人物で、佐藤医師の事情聴取にもほぼ毎回姿を見せていた。佐藤医師は「報告書の内容を信じ込んでいる様子で、否定すると『お前は女子医大と戦うんだな、アリとゾウがけんかするようなものだ』と大声で怒鳴られた」と振り返る

一方で、白鳥容疑者は事情聴取の最中に突然号泣し、「どうして俺たちがこんな難しい事件を担当しなくちゃいけないんだ」と漏らす一面もあった。報告書の誤りを主張する佐藤医師に対し、「これだけの社会問題になったら、誰かが悪者にならなきゃいけない」とも話したという。 

(引用ここまで)

佐藤先生は無罪を勝ち取るために、常人ではできない闘いを強いられました。警察は人を有罪にするために、脅迫くらいは普通にやってきます。それに「絶対屈しない」ことが、どれほど困難なことか。この件についてマスコミはあまりまじめに追求しなくなりましたが、警察官の不正は追及が絶対に必要です。公僕としての意識が欠落し、人を逮捕することの意味と目的を見失う人物は(まして、自らのエゴのために人を手錠で脅す人物は!)その地位に「もっともふさわしくありません」。できれば、このことは皆さんにもよく覚えておいていただきたいし、可能なら広めてほしいと思う次第です。

「衣冠の盗を去るはもっとも難し」

こうなってしまっては、我々一般大衆にとってもっとも好ましくありません。それだけは最後に書いておきます。
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