QMA、その他ゲーム以外のことも、つれづれなるままに書いていこうと思います。どんな文章になることでしょうか。
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医師の勤労に関する、惨憺たる実態
2009-12-10-Thu  CATEGORY: 医療崩壊
とりあえず、一言。

これでも「医師は楽をしている」とか、「稼ぎ過ぎだ」とか言うのであれば、それはその人の人間性の問題だと断言しておきます。それは、絶対に、絶対です。

今回は2つ、文章をとり上げます。

一つ目はこちらから

医療機関における36協定全国調査結果

2009年11月22日 全国医師連盟 全国医師ユニオン

私たち全国医師連盟と全国医師ユニオンは、勤務医の労働条件改善活動の一環として、医療機関における36協定(時間外労働や休日労働に関する協定)の合同調査を行った。

日本には約8000の病院があるが、この調査では全国の主要病院1549箇所を対象とした。大学附属病院、国・公立、労災、赤十字、済生会、JA厚生連、国保、民間病院を含む、公的かつ地域における拠点となっている病院である。

調査は2008年末から2009年初頭に、全国の労働基準監督署に直近の1年半の間に行われた協定の開示請求を行い、開示された1091病院に関して集計・分析を行った。開示がなかった458病院はこの1年半の間に、協定の締結が行われなかったものと解される。

1、集計結果

①ほとんどが救急を担当している拠点病院にもかかわらず、36協定の締結・開示は7割にとどまり、岩手・三重・奈良・愛媛・沖縄では約半数が開示されず、この間協定が締結されていなかったと考えられる

②全国集計の結果(別紙)から、職種欄が黒塗りされ医師を判別することができなかったものが約30%みられた。医師又は医師を含むと明記され確認できたものは57%であった。

③1日の最大延長時間は20時間、1ヶ月の最大延長時間は200時間、1年の最大延長時間は1470時間であった。

④また、36協定で定められている1ヶ月の時間外の延長が45時間以下のものは54%であった。

いわゆる「過労死ライン」と呼ばれる月80時間以上の時間外労働を定めた協定が41都道府県168病院(15%)あり、特に東京の都立病院では全て120時間となっていた

集計は各県別に行ったが、各県の評価は行っていない。その理由は、今回の36協定調査は書類上のものであり、実際にこれが守られているかどうかは不明であること、また労基法上適切な協定であれば、むしろ現実の医師労働を全く反映していない可能性が高いと考えられることの2点による。

2、問題点

上記の結果から、以下の問題点を指摘することができる。

1)情報公開上の問題

開示された36協定に不適切な黒塗りが多数認められた。特に職種の内訳に関する黒塗りは、個人情報とは全く関係がなく、情報公開の趣旨に反する。
また、黒塗りに関しては、労基署によって対応がまちまちで一貫性が見られなかった。これらは労働基準監督署の情報公開に対する姿勢に問題があることを示している。

2)36協定が開示されなかったものに関して

36協定は、その趣旨から毎年締結することが基本である。1年半の間に36協定が締結されていない病院が約30%もみられることは、大きな問題である

3)36協定の内容に関して

医師が含まれていない36協定が数多くみられた

週40時間以上の労働を行わせるには、労働基準法第36条に定められている36協定を締結する必要がある。調査した病院は、地域の2次3次救急を担うものが多く、重傷者の治療を担う病院であることを考えると、週40時間を超える労働を医師が行っていることは明らかである。むしろ最も長時間労働している医師が36協定を結ばずに働かされている実態は、極めて重大な違法行為である。

1ヶ月45時間以内の時間外延長とする36協定が多数みられる

多くの病院では、夜間・休日の勤務は宿日直として扱われ、時間外労働や深夜労働、休日労働としては扱われていない。また手当も多くは宿日直手当や拘束時間を無視した労働時間のみの賃金で、時間外労働・深夜・休日手当が支払われていない。これらに関しては、すでに裁判での判決や労基署の是正勧告などが出されている。
先に述べたように、今回調査した医療機関は、ほとんどが24時間体制で高度医療を提供する病院である。日本では医師の交代制勤務がほとんどみられず、多くの病院の当直業務が32時間連続労働を前提としている現状を考えれば、医師に関しては1ヶ月の労働時間が45時間以内という協定内容は全く守られていない。これも重大な労基法違反であるといわざるを得ない。

過労死ラインを超える時間外労働を定めた36協定が多数存在する

1ヶ月80時間を超える時間外労働は、過労死との関連性が強いとされている。今回の調査では、最高1ヶ月200時間の時間外労働を定めた36協定がみられた。労働契約法の趣旨からみれば明らかな逸脱であり、これを認めた労基署は法律の趣旨を尊重し、当該病院に速やかに改善の指導を行うべきである。
また、多くの病院で80時間を超える36協定がみられた。医師不足によりやむをえない診療科のあることは事実であるが、120時間以上という36協定が少なからず存在することは、重大な問題であり、改善のための早急な取り組みが求められる。

④特別条項の濫用

36協定では月45時間の延長を限度としているが、これを超える必要がある場合のために特別条項が設けられている。労基法では、これは「臨時的なもの」であり「一時的突発的に時間外労働を行わせる必要があるもの」に限られているが、その趣旨は本来、1年のうちで季節的に労働量が大きく変動する業種において、繁忙期には月120時間の時間外労働が必要であるが、閑散期には時間外労働は全く行わないという状況を想定したものである。しかるに、病院という業種では繁忙期と閑散期の区別はなく、いわば一年中が繁忙期であり、急変時対応や当直での夜間救急対応は医師にとって常態的な労働である。この実態を形式的に合法化するために特別条項を用いている可能性が極めて高く、大きな問題である。

⑤自動更新について

36協定は、毎年労使によって結ばれるべきものである。それにもかかわらず、労使の「一方又は双方から異議が申し立てない限り、更に1年更新するものとし、以後この例による」と事実上の自動更新を認める項目がみられる。このような条文は1ヶ月120時間の時間外労働を認めている協定に多くみられる。これは過重労働の改善への働きを弱め36協定を形骸化させるものであり、労組がこのような協定を行うこと、さらに労基署がこれを認めることは遺憾である

3、今回の調査から明らかになったこと

公的な医療機関における全国的な労基法違反が明らかになった。また、労基法の趣旨から逸脱した協定が全国の公的な病院に多数みられた。これらの違法は法治国家として許されることではない。また、病院管理者はもとより監督官庁の法律遵守に対する意識の欠落を指摘することができる。さらに医師の過重労働は、医療安全を脅かし、国民への利益に反することは明らかである

今回の調査結果は、勤務医の労働問題に関する厚労省行政の無作が医師数抑制政策を安易に実行させ、勤務医の過重労働を放置し勤務医を疲弊させ、結果として医療崩壊を引き起こしている事実を勤務医の労働の面から裏付けるものである。

二つ目はこちらです

「医療機関における全国的な労働基準法違反および勤務医への賃金不払いに抗議する」 全国医師ユニオン声明 
    
2009年11月22日  全国医師ユニオン

全国医師連盟および全国医師ユニオンが36協定の全国調査を行った結果、全国の公的な医療機関の多くに労働基準法違反があることが判明した。

今回の調査結果は、勤務医の労働問題に関する厚労省行政の無作為が医師数抑制政策を安易に実行させ、勤務医の過重労働を促進し、多くの勤務医を疲弊させ医療崩壊を引き起こした事実を労働の面から裏付けるものである。
これらの違法は法治国家において許されることではない。また、病院管理者はもとより監督官庁の法律遵守に対する意識の欠落を指摘せざるを得ない

今回の調査は、36協定という書類上の調査にすぎないが、実態労働ではさらに多くの労基法の違反があると推測される。法律に基づいた一刻も早い勤務医の労働条件の改善が求められる

一方、36協定において1ヶ月80時間の過労死ラインを超える時間外労働を認める協定が多くみられる。絶対的な医師不足の中で、地域医療を守るためには一定の長時間労働を勤務医が担わざる得ない現状があることは事実であるが、そのことを理由に漫然と長時間労働を認めることは許されない。勤務医の労働時間を減らす様々な取り組みを行うと同時に、医師の健康悪化と医療事故を誘発する危険性の高い、長時間の連続労働を防止する対策を取る必要がある

さらに、いわゆる救急医療などを含む当直業務を「ほとんど労働の必要がない」宿直扱いとして、または一定の当直料を支払うことで、労働基準法に定められた時間外割り増しや深夜割り増し賃金を払わないことにより、莫大な不払い賃金が発生していると考えられる。また、名ばかり管理職の残業未払いや業務による待機時間への不払いも横行している

仮に勤務医の三分の一の医師6万人に当直や長時間残業で300万円の不払いがあるとすれば、1800億円となり、これに名ばかり管理職の時間外労働や待機時間に関する不払いが加われば年間2000億円規模の不払い賃金が存在することになる。正確な実態は不明であるが、これらの不払い賃金が、24時間の医療体制を担い長時間労働を行う勤務医の地位を著しく低下させ、これらの勤務医のやる気をなくさせている要因の一つであることは明らかである。

私たち全国医師ユニオンは、長時間労働や深夜労働を行う医師を高く評価し、労基法に基づいた当然の賃金を払わせることを強く求める。これら労働法遵守は勤務医のやる気を高め医療崩壊を防ぐうえで必要不可欠な最低限の政策である。

ただし、これに対応した診療報酬が払われなければ多くの医療機関が倒産し、医療崩壊がさらに進むという構造となっている。多くの勤務医は不払い労働に不満を持ちながらも、病院経営を気遣い声を上げることができずにいた。私たちは、正当な報酬が勤務医に支払われるように勤務医の労基法遵守加算のような診療報酬制度の必要性を強く訴える

また最近、開業医と勤務医を対立させるような議論が行われているが、勤務医の賃金が適切に払われることが重要であり、現在の医療費の中で開業医と勤務医がパイの取り合いをするような構図を作ることには、極めて有害な議論である

高齢化の進行と医学の発展は、医師のマンパワーをさらに必要とするが、かなりの期間にわたって深刻な医師不足が改善される見込みはなく、当面はさらに悪化することは明らかである。開業医がやる気をなくせば、勤務医の負担は更に増えることは自明の理であり、勤務医と開業医のどちらにも働くインセンティブを与える必要がある。

低医療費政策と絶対的医師不足のもとで必要なことは、これまで医療政策を転換し医療崩壊を防ぐために、医師が健康でやり甲斐を持って働ける環境を整備することである

私たち全国医師ユニオンは、政府・与党及び厚労省に対して勤務医の労働条件の速やかな改善を行うことを強く要請する。

(引用終了)

批判の対象は医師を使い捨ての道具同然に扱ってきた病院だけでなく、同様に医師を安く働かせようと仕向けてきた政治や行政でもあります。この二つの文章で、医療に関する諸問題の多くは語り尽くしてしまっており、こちらから特にコメントすることもないかと思いますが・・・そうした政治や行政を容認し続けてきた我々患者側の人間は、しっかりこの事実を確認するところから始めなければなりません。
冒頭で強調したような文章を掲げているのは、そうした理由によるものでもあります。医師と一緒に良い医療をつくっていこうと考えるのであれば、まずは理解、次はそれに相応しい(対価を伴った)両者の誓約が必要です。言い換えるならば、先生方に頑張ってもらえるだけの対価を、社会全体で責任をもって提供し続けることが不可欠です。そのこと抜きに、好き勝手ばかり口にするのは禁忌であるだけでなく致命的ですらあります。

医師を過労で殺す社会であり続ける限り、いずれ皆医療難民。それでもいいのかどうかが、問われています。
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