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署名だけでは、再開できない産科医療
2009-07-01-Wed  CATEGORY: 医療崩壊
表題ですが、多少古いお話です。しかし署名などいくらやっても、地域に産科医が来なければ何の意味もありません。産科医の皆さんに来てもらうために、何が必要なのかということがわかっていなければ、どれだけ運動しても甲斐の無いことと思います。

今日はこちらから引用しています。

(引用開始)

2009年06月25日(木)

山梨大指導で分娩再開断念 塩山市民病院

「常勤医1人では緊急時対応不十分」

既に予約、市民に不満

医師不足で産婦人科の分娩ぶんべんを中止していた甲州市の塩山市民病院(沢田芳昭院長)が、助産師による正常分娩を始めようとしたところ、同病院に医師を派遣している山梨大から指導を受け、断念していたことが、24日分かった。市民の要望に応えようと早期再開を目指した同病院だが、同大は「常勤医が1人しかおらず、緊急時の対応が不十分」と待ったをかけた。医療関係者は「多くの医師派遣を受ける山梨大の方針に従わざるを得なかったのではないか」と病院側対応に同情するが、市民からは不満の声が上がっている

同病院によると、産婦人科は当初、山梨大からの派遣医が3人いたが、同大が「小児科医と麻酔科医が確保できない」として全員を引き揚げたため、2007年10月に分娩を中止した。昨年8月、新たに1人が派遣された。

同病院は、分娩を求めた市民ら7万7千人の署名が提出されたことを重視、早期の分娩再開を模索。正常分娩に限り助産師5人が主体的に措置する仕組みをつくり、緊急時は山梨市内の診療所の産婦人科医と、系列の山梨厚生病院の麻酔科医に協力してもらうことが決まった。

今年1月、同病院で検診を受ける妊婦のうち、6月以降の出産予定者を対象に分娩の受け付けを始めた。しかし同大から指導を受けたため、4月に取りやめることを決め、予約者に通知した。

同病院は「診療所は医師1人でお産を扱う。助産師や看護師は多く、正常分娩なら安全と判断した。ただ山梨厚生病院を含め、同大から多くの医師の派遣を受けていて、再開に慎重にならざるを得ない」と説明する。

同大は、同病院を指導したことについて「院内助産でも母体や胎児に異常があった場合、助産師から医師にバトンタッチする。分娩再開には少なくとも常勤医3人が必要」などと説明。常勤の小児科医、すぐに駆け付けられる麻酔科医がいないことも理由に挙げている。

同大が地方病院から医師を引き揚げ、拠点病院に医師の集約を図る背景には医療事故が起きた際の訴訟リスクがあり、「お産に百パーセントの安全を求められる時代。万全な体制で分娩を再開したいが、医師不足で難しい」(同大)という。

ある医療関係者は、県内の多くの病院が、県内で唯一、医師の派遣機能を持つ山梨大に頼っている現状を指摘。「大学の方針に従わざるを得ない傾向を解消するには、医師を増やすことはもちろん、国や県が積極的に大学側へ働き掛けてほしい」と注文する。

分娩を予約した山梨市上之割の村松幸恵さん(36)は「地元で産めると思って喜んだのに残念」と肩を落とす。分娩再開の署名活動を進めた「子育てネットこうしゅう」の坂野さおり代表は「再開してもすぐに中止されては困る。一日でも早くお産ができる環境を整えてほしい」と訴えている。

(引用ここまで)

いくつか、問題のある部分を指摘しておきます。

まず、正常分娩はプロセス全てが無事に終了して、ようやく「正常分娩である」と定義することが出来る・・・そうしたものです。途中で正常分娩かどうかなんて、誰にもわからないのが現実なのです。正常分娩なら安全、というのは順序が逆で、病院の関係者は十分に理解してものを言っていないように感じます。
次に、病院側の指摘ですが、これは全くその通りです。お産に万全を期するのであれば、それが可能なスタッフをそろえる必要があります。大学が3人といえば、それが最低限ということなのでしょう。たった1人で再開して、もし異常で危険の高い分娩が起きた場合は対応できない危険性が高いです。そして、そうなる可能性は小さくても常にあるのです。
最後に・・・もし異常事態が生じて、万が一の結果を迎えた場合、担当した産科医がどんな目に遭うか・・・これはだいたい想像がつきます。大野病院事件を思い起こせばいいでしょう。次の瞬間社会全体でリンチに晒されるのが目に見えています。昨今無駄に高水準な医療を要求する風潮が蔓延しており、失敗すれば人生を台無しにされるリスクを医師は押し付けられているのです。にもかかわらずそのようなリスクも喜んで受け入れろとは、誰が口にするつもりなのか。

市民の方々が不満を持つのは仕方ありませんが、果たして上で書いた事情をどこまで理解しているのかは別です。特に下の2つについては、十分理解する必要があります。何かあるたび医療側に責任が押し付けられている中、より慎重な取扱が分娩にも求められるようになっています。無駄に高いノルマを医師と医療に課したこの国の風潮の無残な結果が、これなのです。
現在、この地域だけでなく、どこに行っても産科医は特に不足しています。大野病院事件の結果は無残なものでした・・・罪なくして罪を宣告しようとした警察や検察の愚行によって、多くの産科医が分娩から手を引きましたし、将来産科を目指す学生の数も、少なくなってしまいました。そんな中でどれだけ大学の方針に文句を言ったところで、誰が助けてくれるわけでもなし。
先生方に来てもらいたければ、それに相応しい対価を地域全体で提示しなければなりません。それはここでは何度も書いていることですが、まだ社会一般にまるで受け入れられていないようです。最低あと2人に来てもらえるだけのことを、果たしてこの地域にはできるのかどうか・・・そのためには、まず現状に対する認識から改める必要があります。署名だけでは足りません。先生方を惹きつけるだけの条件でも示さない限り、分娩の再開など不可能です。

地域医療の質は、地域住民が医師と医療のために提供した対価の量と質によって決まります。それが理解されない限り、残酷な物言いですが先のことなどありえません。それだけは、間違いのないことです。
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コメント

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はじめまして、こんばんは。
コメントancomochi | URL | 2009-07-01-Wed 22:03 [EDIT]
鴛泊愁さん、はじめまして。うろうろ先生のブログから来ました。

おっしゃるとおりだと思います。
ハードルを高くしてしまっていることにも気付いていないのでしょうね...
お金も必要ですが、なにより地域住民全員が医療の不確実性と医療の限界を理解していなければ産科医は来ないでしょう...

うろうろ先生のところに書いていらした、「丹波の件以来、その先に気付いて住民運動を見たことがない」という書き込みを読んでふと思い出しました。
以下の団体があるようです。

らぽ~る http://rapport.jimdo.com/

私のブログをリンクに入れてくださってるようで、その関係で存在を知りました。ニュースのところを見るとどうやら今月4日5日に行われる「地域医療を守り・育てる住民活動全国シンポジウム2009」にも参加予定のようです。まだ小さな団体のようですがこれから育っていくかもしれません。
お返事します
コメント鴛泊愁 | URL | 2009-07-02-Thu 20:16 [EDIT]
< ancomochi様 >

ご紹介ありがとうございます。この団体のことは、こちらでも覚えておいて、機会があればコメントしたいと思います。こういう動きがあってはじめて、その先のことが期待できると思います。署名がその第一歩であってくれればいいのですが・・・対価抜きに、ただ「医者よこせ」ではどうしようもないことです。

医療の不確実性についても、その一環と考えることが出来ます。医療に関する現実と現状に対する理解もまた、患者側の支払うべき対価です。それだけに、紹介してくださった運動については、一定の評価ができると考えています。
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