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臓器移植は、法案だけ通しても意味がない
2009-06-19-Fri  CATEGORY: 医療崩壊
臓器移植に関する法案の成立は、それ自体特別の意味を持つものではありません。せっかく法案を通しても、引き受けてくれる医師がいなければ同じことなのです。

今回は、こちらを引用しました。

6月18日の読売新聞より

米の小児心臓移植、日本人患者に高額請求…4億円前払いも

日本人の心臓移植希望者を唯一受け入れている米国で、日本の小児患者が移植費用として、1億6000万円を請求される症例が昨年あったことが17日、わかった。

今年3月には、医療機関へ事前に支払うデポジット(前払い金)として、別の小児患者が4億円を求められた。値上げの理由について、医療機関は明らかにしていないが、米国でも臓器不足は深刻なため、外国人の医療費を値上げすることで自国の待機患者の不満を解消するなどの意図があるとみられる。

調査したのは、国立成育医療センター研究所の絵野沢伸室長。米国と今年3月に新規受け入れを中止したドイツで、1998年~2008年に心臓、肝臓などを移植した日本人患者66人を対象に、集めた募金額や医療費などを分析した。

このうち、医療費が他の臓器よりもともと高かった心臓移植を受けたのは42人。うち、米国で07年までに移植し、費用明細が判明した23人の医療費は、集中治療室(ICU)に入った重症患者など3人(99年~04年)を除くと、すべての症例が3000万~7000万円台で推移していた。これに対し、08年は4人すべてが8000万円を超え、うち南部の小児病院と西海岸の大学病院で移植を受けた2人は、1億6000万円と1億2000万円を請求された。

米国に次ぐ数の日本人が渡航していたドイツでは費用明細がわかった8人の平均額が約3900万円で済んでいた。

4億円のデポジットを請求したのは西海岸の大学病院。デポジットは患者の医療費支払い能力を確認するため、医療機関が請求する。額は医療機関の裁量で決まり、値上げ理由は示されないことが多い。安く済んだ場合、残金は返済されるが、追加請求される症例の方が多い。

渡航移植には渡航費、付き添い家族の滞在費などもかかる。絵野沢室長は「医療費は今後も上がる可能性があり、国内で移植を完結できる体制を整えるべきだ」と指摘している。

(引用終わり)

ちなみに、日本国内で同じ手術をしてもらうときの診療報酬は・・・?

(以後、解答とともに続けます)
なんと、たったの150万円です!

海の向こうでは1億を普通に上回る手術が、この国ではこの金額で実現できる・・・そう思った人は認識が甘いと思います。たったこの金額しか、医療側は受け取ることが出来ません。移植手術の難易度は今にしても非常に高く、拒絶反応の危険性は常に付きまといます。リスクが高い医療行為の対価としては、ありえないくらい安いというのが正しい認識です。こんな安値で喜んで引き受けてくれる先生が、一体どこにいるというのか?
しかも今は別の問題も付きまといます・・・最近は医療訴訟が相次いでいます。結果が悪いとそれだけが理由で被告席に立たされますし、場合によっては敗訴で賠償金を払わされる羽目になります。民事だけならまだいいのですが、これまた最近は刑事責任を無用に追及する世論形成がなされてしまっている感があります。このような環境下で、ありえないくらい安い移植手術を引き受けてもらおうなんていうのは、とんでもなく虫のいい主張です。

今回引用した記事で新聞は「外国人ならこんなに吹っかけるのか」とでも言いたげですが、問題は勿論そんなところではありません。命の対価というのは、本来それくらい高くても仕方のない物なのです。問題にすべきは「心臓移植の対価が150万円では、日本において心臓移植が成り立つ余地もない」ところにあります。何回かここで使っている言い回しですが、世の中ただは絶対(この場合は特に)ないのです。
結局この問題に突き当たってしまうのです・・・つまり、この国では医療に対する対価が、絶望的なくらい低く見積もられています。しかも、そのことに対する問題意識が社会全般において非常に乏しい。上で少し書いた「150万円で移植手術が受けられるなんてハッピー!」と考えてしまう人間の方が、多分ずっと多いのでしょう。その限りにおいて、この国で移植手術など不可能と言わざるを得ません。

社会が医療の対価を正しく認識するようになり、それをきちんと提供できるようになって、はじめて先のことが期待できます。これも、そうした文脈で見るべきお話です。
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コメント

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笑い話ですよね
コメントみるく | URL | 2009-06-20-Sat 03:59 [EDIT]
生体肝移植は100万円でございます。

実習中に見た結腸のオペ、医師三人、看護師2人で3時間ほどかかります。
説明や病理検体提出も含めるともっとですが。

お値段、13万円。

開腹(K-720)なので自動吻合機(一発1万)も加算できず、薬剤だけは保険が効きます。残りは持ち出し。
この手術ができるようになるまでに何年かかるか考えると、なめてるとしか思えませんね。

http://www.news.janjan.jp/living/0811/0811190908/1.php
これを見て笑ったのですが、非営利/営利で胸部X線検査の値段がこんなに違う!
$120 / $1,519
どっちを見ても幸せそうです。放射線科医の先生のやる気も出ますね。
ちょっと違いますが、日本じゃCT/MRIを放射線科の読影専門医が読んで700円。
これでも金が出るほうになったという事実。これで専門医です。

日本の医療が安いのはいいことだと思うんですよ、乳児死亡率なんか世界一低いですし、CTの検査とかをポンポンやるから細かい病変も見つかるし、手術が安いからすぐ治る。長寿にも貢献してます。
もちろんその裏には激務があるわけですが、患者さんを治したい大多数の医師は、それでいいんです。
だから…あまりいじめないで欲しい…。

http://www.geocities.jp/vin_suzu/iryou0.htm
このサイト、ご存じでしょうか、結構秀逸です。
お返事します
コメントセレネ | URL | 2009-06-20-Sat 22:57 [EDIT]
< みるく様 >

ご紹介のサイトにつきましては、何度か見たことがあります。明瞭な説明なので、他の皆さんにとってもおすすめと思います。コメントについては全くその通りで、心臓移植で150万ということは、ほかは想像に余りあるということでしょう。

対価については、別段物的なものに限らなくてもいいと思います。でも最近はそれとは程遠い状況なのも事実です。何かあるたびに訴訟のリスクを引き受けなければいけませんし。このリスクは、多分ネガティブな意味で決定的です。

やっぱり、手術をする人のことも考えないと、制度は成り立たないのです。
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