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月の光に照らされて
(割り箸事件)無罪で当然ですが、もう遅すぎでしょう
2008-11-22-Sat  CATEGORY: 医療崩壊
まずは、こちらをご覧ください。今回とりあげる事件の内容が、わかっていただけると思います。

(引用開始)

男児割りばし死亡事件、医師は二審も無罪 東京高裁2008年11月20日15時4分

東京都杉並区で99年、割りばしがのどに刺さった杉野隼三(しゅんぞう)ちゃん(当時4)が受診後に死亡した事故で、東京高裁(阿部文洋裁判長)は20日、業務上過失致死罪に問われた医師根本英樹被告(40)に対し、一審・東京地裁の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却する判決を言い渡した。

隼三ちゃんは、盆踊り大会で綿あめの割りばしをくわえたまま転倒。救急搬送された杏林大医学部付属病院(東京都三鷹市)で当直医だった耳鼻咽喉(いんこう)科の根本医師の診察を受けて帰宅したが、翌朝に死亡した。死亡後の司法解剖で、約8センチの割りばし片が残っていたことが分かった。

公判では、隼三ちゃんの頭蓋(ずがい)内に損傷が起きたことを疑って、必要な治療や検査をする義務があったかどうか▽診療結果と死亡との間に因果関係があったかどうか、などが争点となった。

判決は、刺さった異物が頭蓋内に達したという報告例が事故当時は見当たらず、今回の事故が「特異な例だった」と指摘。当時は口の中の傷に対する診療の基準も確立していなかったと言及した。

その上で判決は、耳鼻咽喉科の当直医として「受診した隼三ちゃんの傷口や意識状態から頭蓋内の損傷を想定し、それを意識した問診をする義務があるとは言い難い」として、根本医師に過失はなかったと結論づけた。

さらに、頭蓋内の損傷を疑ってコンピューター断層撮影(CT)などで検査したとしても、救命できた可能性は低かったと判断し、死亡との因果関係もなかったとした。

06年3月の一審判決は、受診時の隼三ちゃんが、意識が低下したり、嘔吐(おうと)したりしていたことから、根本医師が頭蓋内の損傷を疑って脳神経外科医に引き継ぐべきだったと一連の対応を批判。根本医師の過失を認める一方で、救命の可能性はきわめて低かったとして、因果関係については認めなかった。

判決について、根本医師は「改めて深い哀悼の意を表したい。事故から9年余り、長く苦しい時間だったが、判決でその苦労が報われた思いだ」とする談話を出した。(河原田慎一)

こちらから引用しました)

この件ですが、大野病院事件(福島)と色々共通している点があります。

・ 救命可能性の低い事例であること
・ リスクの高い診療科における事件であること
・ 結果のみをもって、医師が逮捕及び起訴されたこと
・ 遺族の持つ、処罰感情の激しさ

この事故において、割り箸のダメージは致命的であるという主張が(主に医療者サイドから)なされており、その限りにおいて医師に出来ることには限界があります。また保険医療の範囲内の事項については、政治や行政の決めた枠内でしか治療が出来ません。わかりやすく言うと、赤字になる過剰な治療は、どんなに頑張っても不可能です。もしこの事例で検察が要求するレベルの治療や検査を行うのであれば、救急の現場は遅かれ早かれ破綻します。

またこの事件、逮捕及び起訴の結果、救急医療の現場に致命的な悪影響が出ました。結果のみが理由で医師が罪を宣告されようとしている中、わざわざそのような危険を冒すバカなどいなくなっても仕方ありません。救急の現場から人がいなくなる大きな理由になりましたし、昨今特に問題となっている救急医療の問題の、大きな原因となる出来事となりました。

今回の無罪判決は、不幸にも難に遭われた先生にとっては朗報ですが、もう遅すぎたと思います。もう既に、この先生の人生は滅茶苦茶に破壊されてしまいました。現場から人がいなくなった結果、多くの患者も不幸になりました・・・もう既に十分、皆は不幸になってしまいました。おそらくこの判決は、それ自体思慮のあるものではありましたが、もうどれほどの前向きな価値も持てないと思います。だから、もう「遅すぎ」たのです。

もう一つ書くべきことは、続きで書きます。
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